D・ホィートリー「誰がロジャープレンティスを殺したか」


 いわゆる「実物探偵小説」で、手紙、写真、切手などの「実物」をパッケージにしたものである。犯人は、いわゆる一件不再理による逃げきりを狙って、わざとダミーの(覆しうる)証拠で自分を告訴させる様、工作する。その(罠としての)証拠品は、この形式を巧みに使ったもので、ちぎられた写真その他の派手な物件の中で、巧妙にカモフラージュされている。脱帽。また、犯人がことを急いだ理由として、殺害当日(正確には前夜)に、被害者の子供を懐妊してしまうという失策により、数ヶ月後にはアリバイが崩れてしまうという、「***」パターンも用意されている。

*中央公論社


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Jul 15 1995 
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