乱歩の長編の様に(逆か?)、色々なエピソードが接続されている。最も怪しくけしからん?ゲルニエール伯爵が、本物と替え玉とふたりおり、かつ、首領のジゴマは別にいる。中途から登場した怪しい探偵もジゴマの一味である。結局ジゴマは逃走に成功する。いささか辻褄の合わない点もあるが(そこも乱歩的!)、古色蒼然ながらも面白い犯罪小説である。ペスト菌を持った毒蚊を送り込んで殺人を試みるエピソードがあるが、これは「まだらの紐」を想起させる不気味さ。
幻影城 1975年2月号・3月号Last Updated: Jul 15 1995
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