M・D・ポースト「アブナー伯父の事件簿」


 ハヤカワ文庫の「アンクル・アブナーの叡知」(第一短編集の18篇が全訳されている)と重複している10篇と、短編集未収録の4篇。これでアブナー伯父物は、全てである。重複した作品については省略。「<ヒルハウス>の謎」−ミステリーの形をとった、ヒューマニズム賛歌である。「法と、整然とした法秩序が強化されなければいけない。…この地域の住民社会を無秩序状態に陥れるよりは、まだ、犯人を逃がすほうがましだ」(292頁)「闇夜の光」−もうひとつ同じパターンの作があるが、火災の発生を不安と恐怖に苛まれながら待ちつづける犯人の描写が見応え有り。「アベルの血」−時代がかった、素朴なアリバイ工作。他、「悪魔の足跡」を収録。

*創元推理文庫


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Jul 15 1995 
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