“類別トリック集成”読破リストとは何か

　このリストは、乱歩の「類別トリック集成」と、これを収録している『続・幻影城』、及び『幻影城』で、名指しでネタバラシされている、または、書名こそあげられていないものの、かなり突っ込んだ表現がされていて、書名が推測できてしまう可能性のある作品のリストで、言及されている作品中、以下のものは含まれていません。

１．	乱歩の作品と、乱歩の有名な翻案もの（「三角館の恐怖」など）の原作。
２．	ミステリの興味を減らさない情報のみ紹介されている作品。たとえば童謡殺人の場合、童謡殺人であることが最後まで隠され、犯人への手がかりになっている、などのケースに限り、記載。
３．	謎は紹介されているが、トリックの中身には触れられていない作品。
４．	メイントリックとは無関係なトリックが紹介されている作品。

　つまり、これだけ読んでおけば、『幻影城』『続・幻影城』を読んでも、（乱歩の作品を除いて）ネタバレの被害に会う心配はない、という、非常に目的のはっきりしたリストであります。

　読破といっても、ついに見つからなかった作品が、数点あります。どうやら翻訳がなさそうなのが、以下の７点。

バンクロフト「ウェア事件」

Ｈ・Ｊ・ファーマン「罪」

Ａ・Ｋ・グリーン「暗い穴」

マーチモント「ホードレイ氏の秘密」

Ｅ・フィルポッツ「極悪人の肖像」

Ｍ・Ｄ・ポースト「鉄の指をもつ男」

Ｈ・Ｋ・ウェブスター「囁く人」

　また、出典は明らかになったものの、国会図書館にも蔵書が無く、読めなかったものが、以下の１点。

甲賀三郎「水晶の角球」文藝倶楽部　１９２８年９月号

　これらを除く、以下の諸作品の読破レポートです。

江戸川乱歩選『世界短篇傑作集』創元推理文庫

赤沼三郎「悪魔黙示録」幻影城　１９７７年１０月号

Ｍ・アリンガム「判事への花束」早川ポケットミステリ

Ｍ・エイメ「第二の顔」創元推理文庫

蒼井雄「黒潮殺人事件」現代推理小説大系８　短編名作集　講談社

Ｒ・アーサー「５１番目の密室」世界ミステリ全集　３７の短編　早川書房

飛鳥高「犯罪の場」現代推理小説大系８　短編名作集　講談社

飛鳥高「細い赤い糸」光風社

Ｅ・アタイヤ「細い線」早川ミステリ文庫

Ａ・バークリー「毒入りチョコレート事件」創元推理文庫

Ａ・バウチャー「ＱＬ　６９６．Ｃ９」『暗号ミステリ傑作集』創元推理文庫

Ｅ・Ｃ・ベントリー「トレント最後の事件」創元推理文庫

Ｌ・Ｊ・ビーストン「マイナスの夜光珠」新青年傑作選４　立風書房

Ｎ・ブレイク「野獣死すべし」早川ミステリ文庫

ボアゴベイ「海底の重罪」帝国図書館　傑作叢書第六編

Ｃ・ブッシュ「完全殺人事件」創元推理文庫

Ｃ・ブッシュ「１００％アリバイ」早川ポケットミステリ

Ｊ・Ｄ・カー『カー短編全集』創元推理文庫

Ｊ・Ｄ・カー「夜歩く」創元推理文庫

Ｊ・Ｄ・カー「絞首台の謎」創元推理文庫

Ｊ・Ｄ・カー「剣の八」早川ポケットミステリ

Ｊ・Ｄ・カー「三つの棺」早川ミステリ文庫

Ｊ・Ｄ・カー「死者はよみがえる」創元推理文庫

Ｊ・Ｄ・カー「皇帝の嗅煙草入れ」創元推理文庫

Ｊ・Ｄ・カー「曲った蝶番」創元推理文庫

Ｊ・Ｄ・カー「帽子収集狂事件」創元推理文庫

Ｇ・Ｋ・チェスタトン『ブラウン神父シリーズ』創元推理文庫

Ｇ・Ｋ・チェスタトン「詩人と狂人たち」創元推理文庫

Ｇ・Ｋ・チェスタトン「奇商クラブ」創元推理文庫

Ａ・クリスティー「スタイルズ荘の怪事件」早川ミステリ文庫

Ａ・クリスティー「アクロイド殺人事件」早川ミステリ文庫

Ａ・クリスティー「シタフォードの謎」創元推理文庫

Ａ・クリスティー「オリエント急行の殺人」早川ミステリ文庫

Ａ・クリスティー「ゼロ時間へ」早川ミステリ文庫

Ａ・クリスティー「そして誰もいなくなった」早川ミステリ文庫

Ａ・クリスティー「メソポタミアの殺人」創元推理文庫

Ａ・クリスティー「ものいわぬ証人」早川ミステリ文庫

Ａ・クリスティー「愛国殺人」早川ミステリ文庫

ＧＤＨ＆Ｍ・コール「百万長者の死」雄鷄社

Ｗ・コリンズ「月長石」創元推理文庫

Ｊ・コニントン「当りくじ殺人事件」Hodder and Stoughton, London

Ｆ・クロフツ「マギル卿最後の旅」創元推理文庫

Ｆ・クロフツ「ポンスン事件」創元推理文庫

Ｆ・クロフツ「クロイドン発１２時３０分」創元推理文庫

Ｆ・クロフツ「フレンチ警部最大の事件」創元推理文庫

Ｃ・ディケンズ「バーナビィ・ラッジ」集英社ギャラリー　世界の文学　集英社

Ｃ・ディクスン「弓弦城殺人事件」早川ポケットミステリ

Ｃ・ディクスン「赤後家の殺人」創元推理文庫

Ｃ・ディクスン「プレーグコートの殺人」早川ミステリ文庫

Ｃ・ディクスン「一角獣殺人事件」別冊宝石　昭和３２年２月号

Ｃ・ディクスン「孔雀の羽根」創元推理文庫

Ｃ・ディクスン「この目で見たんだ」別冊宝石　昭和３２年２月号

Ｃ・ディクスン「九人と死人で十人だ」別冊宝石　昭和３２年９月号

Ｃ・ディクスン「５つの箱の死」早川ポケットミステリ

Ｃ・ディクスン「読者よ欺かるるなかれ」早川ポケットミステリ

Ｃ・ディクスン「青銅ランプの呪い」創元推理文庫

Ａ・ドゥーゼ「スミルノ博士の手記」世界推理小説体系５　東都書房

Ａ・Ｃ・ドイル『シャーロック・ホームズ・シリーズ』新潮文庫

Ａ・Ｃ・ドイル「消えた特別列車」『ドイル傑作選』新潮文庫

Ｋ・フィアリング「大時計」早川ミステリ文庫

Ａ・フリーマン「赤い拇指紋」創元推理文庫

Ａ・フリーマン「オシリスの目」別冊宝石　昭和３６年１１月号

Ａ・フリーマン「ソーンダイク博士の事件簿Ｉ」創元推理文庫

Ａ・フリーマン「ソーンダイク博士の事件簿ＩＩ」創元推理文庫

フロースト「恐ろしき夕刊」新青年傑作選４　立風書房

グリッブル「ジェコブ・ヘイライン事件」"The Second Century of Detective Stories" Hutchinson, London

Ｒ・ハル「伯母殺人事件」創元推理文庫

Ｐ・ハイスミス「見知らぬ乗客」角川文庫

Ｆ・Ｇ・ハースト「２つの部屋」新青年　大正１１年夏増刊号（ウィントン名義）

浜尾四郎「殺人鬼」日本探偵小説全集５　創元推理文庫

葉山嘉樹「セメント樽の中の手紙」『日本掌篇小説傑作選』光文社文庫

久生十蘭「魔都」久生十蘭全集１　三一書房

Ｆ・アイルズ「殺意」創元推理文庫

井上良夫「アリバイの話」新青年　昭和１１年新春増刊号

木々高太郎「折蘆」日本探偵小説全集７　創元推理文庫

木々高太郎「緑色の目」日本探偵小説全集７　創元推理文庫

黒岩涙香「無惨」日本探偵小説全集１　創元推理文庫

甲賀三郎「琥珀のパイプ」昭和ミステリー大全集　新潮文庫

甲賀三郎「緑色の犯罪」新青年　１９２８年１２月号

甲賀三郎「姿なき怪盗」甲賀三郎全集第４巻　湊書房

楠田匡介「雪」幻影城　１９７６年３月号

楠田匡介「人肉の詩集」『死体消滅』ベストブック社

葛山二郎「赤いペンキを買った女」現代推理小説大系８　短編名作集　講談社

Ｓ・ローマー「ギリシャ室の惨劇」ミステリマガジン　１９６９年９月号

Ｍ・ルブラン「怪盗紳士リュパン」創元推理文庫

Ｍ・ルブラン「虎の牙」創元推理文庫

Ｍ・ルブラン「八点鐘」新潮文庫

Ｇ・ルルー「黄色い部屋の謎」創元推理文庫

Ｇ・ルルー「黒衣婦人の香り」創元推理文庫

Ａ・リース「指」新青年　１９３８年春増刊号

Ａ・Ｅ・Ｗ・メースン「矢の家」創元推理文庫

Ａ・Ａ・ミルン「赤い舘の秘密」創元推理文庫

水谷準「おお・それ・みお」昭和ミステリー大全集　新潮文庫

Ａ・モリスン「マーチン・ヒューイットの事件簿」創元推理文庫

Ｅ・Ｖ・ノックス「薮をつつく」別冊宝石　昭和３３年９月号

大下宇陀児「蛭川博士」東方社

大下宇陀児「紅座の庖厨」大衆文学大系２１　講談社

大坪砂男「天狗」昭和ミステリー大全集　新潮文庫

Ｅ・フィルポッツ「灰色の部屋」創元推理文庫

Ｅ・フィルポッツ「赤毛のレドメイン家」創元推理文庫

Ｒ・ポストゲート「１２人の評決」早川ポケットミステリ

Ｍ・Ｄ・ポースト「アンクル・アブナーの叡知」早川ミステリ文庫

Ｍ・Ｄ・ポースト「アブナー伯父の事件簿」創元推理文庫

プリンス兄弟「指男」宝石　昭和３３年６月

Ｅ・クィーン「エラリー・クィーンの新冒険」創元推理文庫

Ｅ・クィーン「チャイナ・オレンジの謎」ハヤカワ・ミステリ文庫

Ｅ・クィーン「ニッポン樫鳥の謎」創元推理文庫

Ｅ・クィーン「Ｘの悲劇」ハヤカワ文庫

Ｅ・クィーン「Ｙの悲劇」創元推理文庫

Ｅ・クィーン「Ｚの悲劇」ハヤカワ文庫

Ｅ・クィーン「レーン最後の事件」創元推理文庫

Ｃ・ライス「大はずれ殺人事件」早川ミステリ文庫

Ｃ・ライス「すばらしい犯罪」早川ミステリ文庫

Ｃ・ロースン「帽子から飛び出した死」早川ミステリ文庫

Ｃ・ロースン「首のない女」創元社

Ｊ・ロード「プレード街の殺人」早川ポケットミステリ

ルーズベルト、他「大統領のミステリ」早川ミステリ文庫

レオン・サヂイ「ジゴマ」幻影城　１９７５年２月号・３月号

Ｄ・Ｌ・セイヤーズ「ナイン・テイラーズ」創元社

Ｍ・Ｐ・シール「プリンス・ザレスキーの事件簿」創元推理文庫

Ｒ・スカーレット「白魔」別冊宝石　昭和２９年７月号

芝山倉平「電気機関車殺人事件」『下りはつかり』光文社文庫

島久平「硝子の家」幻影城　１９７８年１１月号・１２月号

島田一男「古墳殺人事件」徳間文庫

島田一男「社会部記者」昭和ミステリー大全集　新潮文庫

高木彬光「刺青殺人事件」光文社文庫

高木彬光「能面殺人事件」角川文庫

高木彬光「白雪姫」『妖婦の宿』春陽文庫

高木彬光「妖婦の宿」昭和ミステリー大全集　新潮文庫

谷崎潤一郎「途上」昭和ミステリー大全集　新潮文庫

谷崎潤一郎「白昼鬼語」谷崎潤一郎全集５　中央公論社

谷崎潤一郎「呪われた戯曲」谷崎潤一郎全集６　中央公論社

Ｊ・テイ「時の娘」早川ミステリ文庫

千代有三「痴人の宴」現代推理小説大系８　短編名作集　講談社

海野十三「電気風呂の怪死」海野十三全集　三一書房

Ｓ・Ｓ・ヴァン・ダイン「グリーン家殺人事件」創元推理文庫

Ｓ・Ｓ・ヴァン・ダイン「僧正殺人事件」創元推理文庫

Ｓ・Ｓ・ヴァン・ダイン「カブト虫殺人事件」創元推理文庫

Ｓ・Ｓ・ヴァン・ダイン「カナリア殺人事件」創元推理文庫

Ｓ・Ｓ・ヴァン・ダイン「ケンネル殺人事件」創元推理文庫

Ｓ・Ｓ・ヴァン・ダイン「ドラゴン殺人事件」創元推理文庫

Ｐ・ワイルド「検屍裁判－インクェスト」世界推理小説全集２７　東京創元社

Ｄ・ホィートリー「誰がロジャープレンティスを殺したか」中央公論社

横溝正史「本陣殺人事件」角川文庫

横溝正史「探偵小説」昭和ミステリー大全集　新潮文庫

横溝正史「深紅の秘密」『恐ろしき四月馬鹿』角川文庫

横溝正史「蝶々殺人事件」角川文庫

横溝正史「獄門島」角川文庫

横溝正史「八つ墓村」角川文庫

Ｉ・ザングヴィル「ビッグ・ボウの殺人」早川ミステリ文庫

　このリストを作って下さり、
　版元や初出誌の調査をして下さり、
　どうしても見つけられない書籍について、
　「譲ります」
　「貸してあげます」
　「どこそこの書店にはまだあった」
　「別の出版社からも出ていて、それはまだ絶版じゃない」
　「入手困難。諦めた方がよろしい」
　「高い金を出して捜し出して読むほどのもんじゃない」
　というフォローをして下さり、
　また、リストを持って古書店を探して歩いて下さった、

　以下の方々（順不同、敬称略）に、深く感謝いたします。[_ _]

kaneko@icsi.Berkeley.EDU (Seiji Kaneko)
hisadome@ntttsd.ntt.jp (Kenji Hisadome)
sone@v785.stanley.co.jp
sugimoto@mt.csk.co.jp
miyabi@hrl.hitachi.co.jp (Miyabi SAITOH)
sawada@hcrlgw (Yasushi Sawada)
ono@venus.t-kaki.tis.co.jp
yokoyama@etl.go.jp
martin@artstech.co.jp
mitsu@tact.d3.bs2.fc.nec.co.jp
ino@hashi.ntt.jp
tyranno@bsd2.kb.nec.co.jp
NAG03304@NIFTYServe
GCC01345@NIFTYServe
VFA02046@NIFTYServe

倉田わたるのミクロコスモスへの扉

Last Updated: Jul 14 1995 

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