木々高太郎「折蘆」


 構成は、コラージュ的/ブルックナー的にぎこちない。要するに長編の組み方が下手である。東儀の女房の嫉妬譚など、全くの蛇足でしかない−と思いながら読んでいたら、最後の最後で、本筋に絡んできた。これと言った魅力がある訳ではないが、読後感は良い。先駆者の特権か。それにしても、「類別トリック集成」では何に分類しているのだろう? 虚偽の自白か? これといって独創的なトリックも無いのだが。(後日チェックしたら、普通は犯行を行なえそうもない、意外な犯人(すなわち、病人)に分類されていた。)

*日本探偵小説全集7 創元推理文庫


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Jul 15 1995 
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