P・ハイスミス「見知らぬ乗客」


 たまたま列車で乗り合わせた客が、半ば一方的に「交換殺人」を持ちかけ、それを実行してしまう。主人公は追い詰められ、結局、交換殺人を実行する。心理状態の推移が、うまく描かれている。ブルーノーがミリアムを殺すシーンに先立つ、夜の遊園地(の、特に回転木馬)の喧騒が、鮮やかな効果をあげている。主人公が必死の思いで告白した相手は、彼の殺人などまるで問題にせず、主人公の意気込みは空転してしまう(が、探偵に聞かれることは聞かれる)。

*角川文庫


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Jul 15 1995 
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