C・ディクスン「青銅ランプの呪い」


 これもまた、エジプト絡みの怪奇趣味は悪くない。第一の人間消失は迷信を打ち破るための狂言で、しかも共犯者がいれば何でも出来るわなぁ。一等目立たないメイドに化けていたというのはともかく、彼女が「写真映りが悪い」ことを伏せられていたのは、アンフェアぎりぎり。しかしこのために、彼女と生き写しの肖像画を排除せざるを得なかった、というのは、伏線としても怪奇趣味としても上出来である。第二の人間消失は、お粗末というよりは取って付けたようなもので、まぁこんなものだろう。犯人もこんなものか。傑作とは言いがたいが、バランスは良い。

*創元推理文庫


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Jul 15 1995 
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