C・ディクスン「赤後家の殺人」


 不吉な伝説のある部屋を利用して、正気の兄が狂疾の気味のある弟を殺した、と、擬装する。第一の殺人は布石であり(即ち被害者は捨て駒)、この密室トリックは、注射で注入されたと思われた毒物が、実は飲み物から口内の傷を経て吸入されたことと、窓の外からこれを目撃した、この被害者の死を歓迎する人物が、確実な死を期して、外からの呼び声に(被害者の替わりに)応えたことからなる。第二の殺人には格別の工夫は無し。まずはスタンダードな作例か。

*創元推理文庫


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Jul 15 1995 
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