F・クロフツ「ポンスン事件」


 70年も昔の作品とは思えぬ鮮度。探偵たち(警部の他、弁護士らも含めて)の精力的な捜査活動は、感動的である。後半の大規模な追跡行も、手に汗を握る。被疑者たちの(推定された)動機はそれなりに説得力があるも、いまひとつ歯切れが悪い故に、犯人として確定しきれない、という状況が臨場感を持って描かれている。正攻法のアリバイ工作、過去の秘密等などを含めて、実にバランス良くまとめられている。堪能した。

*創元推理文庫


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Jul 15 1995 
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