A・クリスティー「メソポタミアの殺人」


 かつての脅迫者が今の配偶者である(自分は知らないが相手は知っていた)というパターン自体は、良くあるものだが、メソポタミアの遺跡発掘現場という限定された舞台故、鮮やかな光茫を放つ傑作となった。関係者たちの心理を剥いでいく過程はスリリングである。殺人トリックそのものは、ちょっと失敗の可能性も高く、かつ、失敗した場合のフォローが絶望的であるという点からも、賛成出来ない。が、枝葉のことではある。

*ハヤカワ文庫


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Jul 15 1995 
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