G・K・チェスタトン「詩人と狂人たち」


 この主人公と犯人(?)たちの組み合わせは絶妙である。推理小説でありながら「幻想文学大系」にも収録された理由が良く判った。「おかしな二人連れ」−人物造型の妙と、どちらが狂人?というスリル。「鱶の影」の風景は、どこかバラードを想わせる。「ガブリエル・ゲイルの犯罪」は、殆ど哲学(狂学?)談義で良く判らん。「石の指」−最も感動的。(最も普通という意味でもあるが。)科学的には怪しいが、“科学的態度”に対する姿勢は正しい。動機にはリアリティがある。「孔雀の家」−186頁に、悪魔と孔雀の関係に関する言及あり。ブリューゲルを連想する。「紫の宝石」−よくある“換身譚”だが、動機にも見破り方にも、説得力がある。「危険な収容所」−第一篇と呼応しつつ、狂人たち(?)をあしらい、全編をきれいに閉じる。

*創元推理文庫


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Jul 15 1995 
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